認知・意思決定・行動

ハロー効果|具体例を交えながらわかりやすく解説

認知・意思決定・行動

「見た目良ければ全て良し?」この記事では、ハロー効果の詳細を具体例などを交えながらわかりやすく解説します。この効果については、誰しも経験があるかもしれません。ハロー効果を理解して、今後の生活に役立ててみてください。

ハロー効果の概要と具体例

概要

ハロー効果とは、対象を評価する際、一部の特徴的な印象に引きずられ、全体的な評価が歪んでしまう現象を指します。わかりやすい例だと、「東大出身」と聞くと「この人は勉強も仕事もできて優秀なんだろう」と判断してしまう、などが挙げられます。おそらく皆さんも経験があるのではないでしょうか?経験による先入観や直感、一般的な価値観によって、非合理的な判断をする心理現象「認知バイアス」の1つに数えられます。また、ハロー効果は2種類に分類されます。

ポジティブ・ハロー効果
対象の一部の良い評価に引きずられて、全体的に実態よりも高い評価をしてしまう心理現象

ネガティブ・ハロー効果
対象の一部の悪い評価に引きずられて、全体的に実態よりも低い評価をしてしまう心理現象

上記の「東大出身」の例はポジティブ・ハロー効果に該当しますね。

余談ではありますが、社会心理学の専門用語で、ハロー効果(halo effect)のハロー(halo)とは、「聖人の頭上に描かれている光の輪」を指します。

なぜこのハロー効果というものが、多くの人類に共通しているのでしょうか?実はハロー効果の歴史を紐解くと、原始的時代にまでさかのぼります。物事の目立つ一部分だけで判断するということは、「即断が可能」というメリットがあります。厳しい環境で生き延びる必要に迫られていた原始時代は、ハロー効果による「即断」が生存に有利であったと考えられています。そしてそれは遺伝子によって現代社会にまで受け継がれているのです。

人間の脳の作りや習慣などは、思いの外、原始時代や狩猟採集時代から影響を受けていることは多いと言われています。

具体例

概要を理解できたところで、もう少しハロー効果の具体例を見てみましょう。

ポジティブ・ハロー効果の例
・(人の)見た目が良い|頭が良さそう、仕事ができそう、信頼できそう
・(人の)身なりが良い|育ちが良さそう、お金持ちそう、社会的ステータスが高そう
・(お店の)雰囲気が良い|料理も美味しそう、接客レベルが高そう
・(商品広告に)自分が好きな有名人が起用されている|その商品はきっといいものだ

ネガティブ・ハロー効果の例
・特定の地域の出身|育ちが悪そう、信頼できなさそう
・特定の血液型|○○な性格をしてそう、自分と合わなそう
・一定以上の年齢で独身|人格に問題がありそう、人付き合いが苦手そう
・無愛想な接客のお店|料理の味も悪そう、全体的な雰囲気も悪そう

ここに挙げたのは数あるうちの一例ですが、皆さんも経験のある事象もいくつかあったのではないでしょうか。ただ、ハロー効果に陥ることが全てダメではありません。実際の上記の具体例の中でも「その通り」なこともあるでしょう。自分の経験則から高確率で当てはまるケースもあると思います。

次の項目ではどういった場面でハロー効果に気をつければよいのか、考えてみたいと思います。

ハロー効果を意識すべき場面

具体例で理解が促進された部分もあるかと思いますが、改めてどのようなシーンでハロー効果に注意をする必要があるのかをまとめたいと思います。

人物の見極め

特に採用面接などのシーンではこのハロー効果(ポジティブ・ネガティブ両方)を意識する必要があります。採用面接は決められた時間の中で対象者を見極める必要があるので、簡単ではありませんが、適正な見極めができるように努める必要があります。エントリーシートや履歴書で「性別」や「出身大学」をあえて記載しないことで、先入観を持たないような取り組みをしている企業もあります。

筆者(gaju-maru)は、本業では企業の人事部で採用業務に携わっているため、この点は常に意識しています。「求める人材像の理解」「評価項目の理解」「書類上の情報ではなく、対象者の言葉を捉えたコミュニケーション」等に注意しながら人物評価をしています。

仕事における採用面接だけではなく、プライベートでも多くの人物と出会う際には、その人との付き合い方を考える上で、このハロー効果を意識しながら接してみましょう。

初対面での関係性構築

第一印象は約3秒で決まると言われています。皆さんもこれまでの経験の中で理解できる部分もありますよね。その3秒の中で印象を左右する材料はほぼ100%「外見」です。ハロー効果により、ネガティブにもポジティブにもなり得る第一印象なので、意識すべき場面に違いありません。

仕事で初めてお会いする取引先とのアポイントや、恋活・婚活における初回のデートなど、公私ともに意識しておく必要があります。話し方や傾聴力などのコミュニケーション能力は一朝一夕で高めることはできませんが、外見(服装や髪型、清潔感など)は行動すれば短期間で変えることができます。

良好な人間関係の構築に外見の要素は外せませんが、特に初対面ではハロー効果を意識して、ネガティブに傾かないよう身なりを整えましょう。

消費行動

「パッケージ詐欺」という言葉はよく使われますよね。この事例に代表されるように、パッケージのイメージでポジティブ・ハロー効果に陥ってしまう例は後を絶ちません。「思っていた商品と全く異なっていた」「思っていたより量が少なかった」などは代表的な例です。

その他、「レビューの評価が高いから全体的に良いお店だ」と思って行ったところ、期待はずれだったということもあります。「お金で評価を買う」「身内で評価をしている」といったことも考えられるので、商品や店舗について多角度から調べてみるリテラシーも大切です。

消費行動においては、売り手があの手この手で仕掛けているポジティブ・ハロー効果に陥らないように注意する必要があります

SNSの情報精査

最近ではSNSのフォロワー数が大きな価値を持つ時代になりました。インフルエンサーと呼ばれる人たちは、その人気と発信力でさまざまな情報を世の中に提供しています。「フォロワー数が多い=人気」というのはその通りかもしれませんが、「フォロワー数が多い=発信している情報が正しい」というわけではありません。しかし、自分が好きなインフルエンサーやタレントがお勧めしている商品や情報は正しいと、盲目的に信じてしまうこともあります。

常日頃からSNSや各種メディアに触れる時代だからこそ、ハロー効果を認識して自分の情報リテラシーを上げていくことが求められます

最後に

この記事では「ハロー効果」について説明しました。皆さんも経験があった内容が多かったのではないでしょうか。仕事やプライベート区別なく、人間関係や、消費行動に影響するものなので、ぜひしっかりと理解を深めた上で、自分の生活の中で役立てていきましょう。

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