人は誰しも流行りには便乗してしまいがちですよね。また多くの人が支持している内容を自分も支持したくなります。今回は大衆社会の中でよく見受けられる「バンドワゴン効果」について理解を深めていこうと思います。
バンドワゴン効果の概要と具体例
概要
バンドワゴン効果とは、多数の人が支持している物事に対して、よりいっそう支持が高くなる現象を指す言葉です。アメリカの経済学者、ハーヴェイ・ライベンシュタインの提唱しました。「バンドワゴン」とは下図にある通りパレードの行列の先頭に居る楽隊のことを指しています。ディズニーのパレードでもミッキーやミニーを乗せたワゴンが登場しますよね。「バンドワゴンに乗る」とは時流に乗る、多勢に与する、勝ち馬に乗る、という意味があります。

バンドワゴン効果の背景には、他者との同質化願望が存在しているといわれています。みんなと同じものがほしい、同じことをしたい、同じ状態でいたいという心理がバンドワゴン効果として表面化するわけですね。
具体例
皆さんも感覚的にも、経験からもイメージできると思いますが、バンドワゴン効果の具体例をいくつか挙げたいと思います。
- 今年の「流行カラーはブラウンです」と言われると、その色の服を購入してしまう
- 行列ができているお店にさらに人が集まる
- みんなが投票している対象者に自分も投票する
- SNSで「いいね」が多い投稿に自分も「いいね」を押す
- 多数の良いレビューが投稿されている商品を自分も購入する
上記は一例ですが、皆さんも一つぐらいはご経験があるのではないでしょうか?それほどにバンドワゴン効果は日常生活の中で、自分の意思決定に影響を及ぼしているといえます。
バンドワゴン効果の活用例
バンドワゴン効果は、特にビジネスシーンのマーケティングでよく活用されています。
広告・キャッチコピー
「利用者10万人突破」「20代利用者の95%がまた購入したいと回答しました」「シェア率No1」など、皆さんもよく見かけるこれらのフレーズはバンドワゴン効果による興味喚起や意思決定の促進を目的としています。
それほど多くの人が利用している、満足しているのであれば自分も一度買ってみよう、利用してみようという心理状態に持っていくわけですね。
SNSでの宣伝
多数の人が利用するSNSにおいても、バンドワゴン効果を誘発する宣伝が見受けられます。フォロワー数が多いインフルエンサーが使っている商品や、多数のいいねを集めている商品は購入者が増える傾向にあります。
このようなインフルエンサーマーケティングは、特にZ世代に響きやすく、直近ではCMや新聞などのマスメディアよりも効果があるとして、多くの企業が活用しています。
選挙活動
人が集まっているところに対して自分も一度足を止めてみようと思うことがあります。その心理を上手く活用しているのが選挙活動などの街頭演説です。政治家の中でも知名度がある人が「応援演説」として各都道府県を巡って、所属政党をアピールしていますよね。
その状況は「この政党はこれだけの人に支持されている」と認識させやすく、バンドワゴン効果によって投票数の獲得につながることがあります。
日常のコミュニケーションにおける行動促進
例えは旅行先について友人と相談している場面で「ここに行きたいから行こう!」ではなく、「ここいに行った人みんながまた行きたいって言うらしいよ!」という提案の方、バンドワゴン効果により意思決定を促進できる可能性があります。
その他にも日常的な会話の中で使えるシーンも多々あるはずなので、ぜひ探してみてください。
バンドワゴン効果活用時の注意点
バンドワゴン効果の有用性は活用例からもイメージいただけたと思います。しかし、いくつかの注意点も認識した上で活用することをおすすめします。
情報の正確性・信憑性を担保する
活用例に示したように「利用者10万人突破」「20代利用者の95%がまた購入したいと回答しました」という謳い文句のように、具体的な数値を示すことバンドワゴン効果は高まります。しかし、この数値が偽りの情報であったり、誇張されている数値だとわかった瞬間に逆効果になります。例えば「20代利用者の95%が」といっても、母数(n数)が10名と1000名であればその信憑性に大きな差が生まれますよね。従って、特に数値を示す場合は、その情報の正確性や信憑性を担保することが大切です。
ターゲットを明確にする
ビジネスで重要な要素ですが、バンドワゴン効果にも当てはまります。老若男女にアプローチしたいのであれば、特にターゲットを明確化する必要はありませんが、若者向けの商品・サービスを提案する際に、「中高年から絶大な支持を得ています」と謳われても響きません。バンドワゴン効果を意識する時もこのターゲティングは重要な要素になります。
商品やサービスの「価値」に対する理解を促す
「いま流行りの〜」「みんなすでに始めています」などの流行に焦点を当てたバンドワゴン効果では、その流行が過ぎ去ってしまった後に人は離れてしまいます。バンドワゴン効果だけによる意思決定ではなく、提供する商品やサービスの真の価値を理解してもらう施策、また購入後も満足度を高めていくことができるような施策が大切になるので、その点は理解しておきましょう。
最後に
今回はバンドワゴン効果について解説しました。日常生活の至る場面でその効果を感じることがありましたね。特にビジネスシーンには有効活用できる心理現象ではありますが、自分の生活の中でも活用できるシーンを探してみるのも面白いかもしれません。