認知・意思決定・行動

カリギュラ効果|詳細や活用例をわかりやすく解説

認知・意思決定・行動

「禁止」されると余計に欲望が暴れだす。。。この記事ではカリギュラ効果についてまとめています。ビジネスシーンではマーケティングなどに応用でき、プライベートでは教育に活用できる内容なので、有用な知識として学びましょう。

カリギュラ効果の概要

カリギュラ効果とは、人はある事柄について「禁止」や「限定」をされると、むしろその事柄に関心を示し、実行したくなる傾向を表す心理現象です。皆さんも経験ありますよね。

日本人なら誰でも知っている昔話「鶴の恩返し」でも、鶴が「絶対に覗いてはなりません」と伝えたのにも関わらず、おじいさんが襖を開けて覗いてしまうシーンが有名です。この時のおじいさんはまさにカリギュラ効果に晒されていたといえます。

この「カリギュラ効果」の名前は、1980年にアメリカで放映されたローマ皇帝カリグラを題材にした映画『カリギュラ』に由来しています。当時、過激なシーンに厳しかったボストンでは、残虐的、性的なシーンが多い『カリギュラ』を放映禁止の映画としました。それに反発した市民は、ボストン近郊の映画館まで足を伸ばしました。そして話題が話題を呼んだ結果、『カリギュラ』は大ヒット作品となったという話にちなんでいます。少し皮肉なエピソードにも聞こえてしまいますね。

カリギュラ効果の活用方法

カリギュラ効果は、ビジネスシーンで活用されることや、日常生活でも意識される場面があります。それぞれ具体例を見てみましょう。

ビジネスシーン1:「限定」や「非公開」による興味喚起促進

よくある事例ですが、「この情報は一部の会員様にしかお見せできません」「関係者以外閲覧禁止の極秘資料を一部公開!」と謳われると気になってしまいますよね。限定や非公開により関心を煽り、興味喚起を促進する手法が挙げられます。

ビジネスシーン2:「禁止」による刺激促進

冒頭の「鶴の恩返し」と同じ事例ですが「絶対に真似しないでください」「覚悟がない人は見ないでください」といった謳い文句で「禁止」を突きつけ、心理を刺激することで行動を促す手法です。

ビジネスシーン3:「制限」による焦燥感の誘発

「(ホテルの予約時などの)残り1部屋」「初回限定特典は本日限り」「1日○○食限定」など、この機会を逃せば損をするかも、、、というように、商品やサービスの提供に制限をかけることにより、買い手の焦燥感を駆り立て、意思決定を促す手法です。日常の中に溢れていますね。

プライベートシーン1:教育(特に幼児教育)

親が幼い子供に対して「〇〇しちゃダメ!」「〇〇じゃなくて〇〇しなさい!」といった、一方的にある事柄を禁止するコミュニケーションは日常的に見受けられます。このように親に怒られた(物事を禁止、制限された)子どもは、まさに映画『カリギュラ』の鑑賞を禁止されたボストン市民と同様の状況にあり、禁止されたことに対するフラストレーションが増幅し、その心理的抑圧を解消したいという思いを抱きます。結果として、子どもの勉強意欲や自己肯定感を減少させてしまう要因となります。

上述のようなケースでは、「なぜそれをしてはいけないのか」といった禁止する理由をきちんと説明してあげる必要があります。例えば、戸棚を開けようとする子供に単に「開けてはダメ」と禁止するのではなく、戸棚を開いて中を見せ「中にはたくさんのものが入っていて、落としてしまったらあなたが怪我をしてしまうから開けてはダメだよ」と説明してあげると、子どもは戸棚の中身に対する好奇心を満たせ、かつ、なぜ戸棚を開いてはいけないのかを理解することができます。

ついついやってしまいそうなコミュニケーションなので、注意したいですね。

ブライベートシーン2:恋愛における駆け引き

カリギュラ効果は、恋愛の場面でもさまざまなところで影響します。その一例としては「禁断の恋」が挙げられます。ドラマや小説でもよく描かれる「生徒と教師の恋愛」や、人気漫画「花より団子」のような「一般家庭出身者と名家の御曹司との恋」など、許されない状況(誰かから禁止されている状況)であるほど当事者は熱を帯びていくストーリーがたくさん見られます。

また、好意を寄せている相手から連絡がなかなか来ないと普段より気になってしまうのもカリギュラ効果に含まれます。他にもデートでの別れ際に「今日の話の続きはまた今度ね」と言われると次のデートに対する期待感と同時に「早く知りたい、話したい!」という思いに駆られます。このように恋愛の駆け引きの際にカリギュラ効果を上手に活用するのは良いでしょう。

カリギュラ効果の注意点

ここまでカリギュラ効果について活用例なども記載しましたが、以下の点には注意をしましょう。

禁止や制限の強度に注意する

由来である映画「カリギュラ」の実話に基づくように、強い禁止であればあるほど相手の好奇心を駆り立ててしまい、逆効果になることがあります。本当に禁止したいのであれば「禁止する目的や背景」を明確することも考えましょう。

逆に、カリギュラ効果を利用して注目を集めたい、興味喚起を促進したいのであれば、その状況に合わせた強度(表現)を意識する必要があります。

禁止や制限の頻度に注意する

上記の恋愛の事例にはよく当てはまりますが、多少の禁止や制限であれば興味喚起につながりますが、頻度が多すぎると「ただの面倒な人」になってしまいます。

広告でも何度も何度も「絶対にクリックしないでください!」と出てくると逆に嫌悪感も感じ始めますよね。然るべきタイミングでカリギュラ効果を演出する工夫が必要です。

利用する際の前提条件を整える

先ほどの恋愛の事例において、全く興味がない人から「また今度」と言われても「これ以上は結構です」となると思います。カリギュラ効果を有効活用するためには前提条件(恋愛ならば多少の好意が向けられている状態など)が最低限整っていることが大切です。

漫画が購読できるサービス「LINEマンガ」や「コミックシーモア」でも、最初の数話だけ無料で読める機能があると思いますが、その機能はまさに前提条件を整えるための仕掛けと言えるでしょう。

最後に

今回はカリギュラ効果を説明しました。日常の中でも至る所で作用する効果としてぜひ認識しておきたい知識だったかと思います。この心理現象を理解することで、無駄な購買を回避したり、相手の興味喚起を促すことに役立ててみてください。

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