『GRIT やり抜く力』とは
「成功を収める人たちを分けるのは、才能ではない。情熱を持ち続け、努力をやめないという“やり抜く力”である」
皆さんは、何かを始めても長続きせず、「自分には才能がないから」と諦めてしまった経験はありませんか。私も継続力はある方ですが、何かを成し遂げるまで継続できたことと聞かれると、すぐに回答は難しいかもしれません。そんな誰もが突かれると痛いポイントにフォーカスしているのが、今回ご紹介する『GRIT やり抜く力』です。心理学者アンジェラ・ダックワース氏が、ウエストポイント陸軍士官学校の訓練生や全米スペリング大会の出場者など、幅広い対象を調査した末にたどり着いた一冊です。
日本の有名な諺でも「継続は力なり」とありますよね。さらに、この継続に関わる話では作家の中谷彰宏さんの有名な言葉があります。
何かをしたい人、10000人。
それを始める人、100人。
それを続ける人、1人。
少し過大表現かもしれませんが、つまるところ人類共通で成功の要因は「才能」ではなく「GRIT(やり抜く力)」こそが成功を予測する最大の要因であるということだと思います。この発見は世界的な話題を呼び、TEDトークの再生回数も数千万回を超えています。タイトルやTEDトークは知っていても、本までは読んでいないという方も多いのではないでしょうか。
「才能×努力=スキル」「スキル×努力=達成」という方程式
「才能に努力を掛けるとスキルになる。スキルに努力を掛けると達成になる」
本書で紹介されるこのシンプルな方程式が示すのは、努力は結果に対して二重に効いてくるという事実です。才能があっても努力しなければスキルは育たず、スキルがあっても努力しなければ成果にはつながらない。逆に言えば、人並みの才能でも、努力を重ね続けられる人は、才能はあっても努力をやめてしまう人を最終的に追い越していく、ということです。
ダックワース氏がウエストポイントで行った調査では、入学試験の成績よりも「GRITスケール」(情熱と粘り強さを測る簡単な質問票)の点数の方が、厳しい夏季訓練を乗り越えられるかどうかを正確に予測できたといいます。同様に全米スペリング大会の出場者を調査した研究でも、単に「楽しむための練習」をしていた子どもより、苦手な単語を繰り返し練習するような「意図的な練習」を積んでいた子どもの方が、GRITスコアが高く、好成績を収める傾向にあったそうです。
「情熱」とは、一瞬の興奮ではなく「一貫性」である
「GRITのある人は、まるでコンパスを持っているかのように、同じ方向に向かって努力し続ける」
本書が興味深いのは、「情熱(パッション)」の定義です。多くの人は情熱を「強い興奮や熱狂」だとイメージしますが、ダックワース氏が言う情熱とは、ひとつの目標に対して年単位で関心を持ち続ける「一貫性」のことです。新しいことに次々と飛びついては飽きてしまう人よりも、地味でも一つのことをコツコツ続けられる人の方が、長期的には大きな成果を手にしている、という指摘は、多くの読者にとって耳の痛い、しかし希望の持てる発見だと思います。
では、GRITはどうすれば鍛えられるのか。本書では「興味」「練習」「目的」「希望」という4つの心理的資質を順番に育てていくことを勧めています。まず心から興味を持てることを見つけ、次にそれを深める練習を重ね、やがてそれが自分個人のためだけでなく誰かの役に立つという「目的」を実感し、最後に困難にぶつかっても「きっと乗り越えられる」という希望を持ち続ける。この順番自体が、GRITを育てるための実践的なロードマップになっています。

以前ご紹介した「挑戦し続けた人たち」との共通点
このGRITという考え方は、以前このブログでご紹介した「カーネル・サンダースの挑戦」や、「マインドセット」で紹介した“しなやかマインドセット”とも深く重なります。1000回を超える挑戦を続けたサンダース氏の姿勢は、まさに本書が言う「情熱の一貫性」そのもの。『マインドセット』が「考え方」の話だとすれば、『GRIT』はその考え方を「どう行動に落とし込み、継続するか」を扱った、いわば実践編と言える一冊です。
こんな人におすすめ
- 何かを始めても、途中で投げ出してしまいがちな方
- 自分には才能がないから、と挑戦をためらってしまう方
- 部下やお子さんの「継続する力」をどう育てればいいか悩んでいる方
- 『マインドセット』を読んで、次に何を読もうか探している方
気になる項目が一つでもあった方は、ぜひ本書を手にとって、やり抜く力の鍛え方を確認してみてください。

まとめ
「やり抜く力は、生まれつきの才能ではない。後天的に鍛えられるスキルである」
最後のこの言葉に私は希望を感じました。中には先天的に一つの物事に心血を注ぐことができる人もいます。それを才能と呼ぶことは間違いではないと思いますが、このやり抜く力は誰しもが鍛えることができるとされています。私はこの言葉を信じて理想の自分になることに邁進したいと思いました。
『GRIT やり抜く力』は、全米で100万部を超えるベストセラーとなり、著者のTEDトークは世界中で視聴されてきました。才能に恵まれなかったと感じている人にこそ、読んでほしい一冊です。新しい挑戦を始めたばかりの方も、何かを続けることに悩んでいる方も、読み終える頃にはきっと背中を押されているはずです。
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